STERFIELD

株式会社ラクーンコマース様

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卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」を運営するラクーンコマースは5月7日、台湾に特化したBtoBの越境ECサイト「日貨百貨 by SUPER DELIVERY(日貨百貨)」を開設した。元々、BtoBの越境ECサイト「SD export」を通して134カ国に向けて販売しているが、特に成長性が高い台湾向けに現地のバイヤーが利用しやすい販売チャネルを設けた。開設から間もないが、すでに毎日のように注文が来ており、新たな売れ筋も出てきている。BtoBの越境ECでローカライズした経緯や、構築基盤にスターフィールドが提供する越境ECカート「LaunchCart(ランチカート)」を選んだ理由などをラクーンコマース グローバル戦略部の元健一郎部長と浜本健作氏、スターフィールドの星野翔太社長に聞いた。

台湾特化のサイトを開設したワケ

「SD export」で134カ国のバイヤー向けに越境ECで日本のサプライヤーの商品を販売しています。中でも台湾向けの流通額が大きいと聞いていますが、台湾に特化した越境ECサイトを開設した理由は?

ラクーンコマース 浜本:台湾のバイヤー向けにはすでに販売し、伸びてもいますが、課題もありました。課題は、①言語②商品③物流④決済――と大きく4つあります。

言語に関しては、「SD export」はデータベースを英語で構築しており、各国の言葉へは、弊社独自の翻訳システムとGoogle翻訳を併用して対応しております。そのため、英語でしか商品情報が検索できず、検索サイトでもサイト内検索でも台湾で用いられる中国語(繁体字)の検索には引っかかりません。さらに誤訳もあるため、サイト自体の安心感が欠ける点も課題でした。

商品については、「SD export」が134カ国に展開しているため、サイト上には世界中の国で売れている商品が並んでおり、必ずしも台湾でよく売れている商品が目立つ場所に掲載されておりませんでした。取扱商品数は60万点あるため、台湾のバイヤーが求めている商品が埋もれてしまったり、探しづらい状況でした。

物流ではリードタイムや通関への対応に課題がありました。「SD export」で台湾のバイヤーが購入した場合、サプライヤーには国内の当社の契約倉庫に納品していただき、そこから各クーリエの倉庫に横持ちするという流れで、横持ちするコストや時間がかかってしまっていました。さらに、「SD export」では商品を購入したバイヤーは商品が届くまで関税などが分からない仕組みになっていました。

決済について、「SD export」はクレジットカードやPayPal、T/T(国際送金)に対応していますが、台湾のバイヤーの方が利用しやすい決済手段をそろえているとは言えない状況でした。こうした課題を解決するために「日貨百貨」を開設しました。

どのようにバイヤーが感じる『4つの負』を解消したのですか?

浜本:言語と商品の課題に関しては、当社で設定した台湾のバイヤーのペルソナが利用していただける商品に絞って掲載することで解消しました。「SD export」では原則的にサプライヤーが商品情報を登録するのですが、「日貨百貨」では全商品を当社で登録しています。台湾のバイヤーが目を引く商品が並んでおり、さらに中国語(繁体字)で検索できるため、探しやすくもなりました。SEO対策のためのキーワードを盛り込んでおり、サイズの表記も統一することで分かりやすくなりました。

物流に関してはECMSジャパンと連携することで解消しました。「日貨百貨」で売れた商品はダイレクトにECMSジャパンの倉庫に納品してもらうため、時間やコストが削減できています。通関に関しては、弊社で関税と営業税を立て替える仕組みにしました。台湾のバイヤーには、購入までに関税や営業税、送料が全て分かるようになり、安心して購入していただけるようになりました。

決済は「LaunchCart」を導入することで、現地決済に迅速に対応できました。クレジットカードに加え、台湾でのニーズが高い後払いに対応しました。商品価格は台湾ドルで表記しております、海外通貨建てで販売するのは当社としても初めての取り組みです。「仕入れる人が一番使いやすい仕入先となる」というビジョンを持っており、「台湾のバイヤーが仕入れやすいサイトとはどんなサイトか」ということを逆算してサイトを設計しています。

決済が決め手で「LaunchCart」導入

「日貨百貨」のプロジェクトはいつスタートとしたのですか?

ラクーンコマース 元:構想を考えたのが昨年11月くらいでした。11月末には台湾で現地調査を行い、ゴーサインを出しました。スターフィールドさんとは昨年9月の越境ECのイベントにお互い出展していた縁もあり、相談させてもらいました。台湾に対応した機能性や特に現地決済に連携している点が決め手なり、「LaunchCart」を基盤に「日貨百貨」を作ることになりました。やはり自社開発でECサイトを構築するとなると決済や物流、保険など対応することが多く、時間もかかります。特に決済の面では、キャンセルの消し込みなど会計システムとのすり合わせなど大変です。コロナの影響もあり、ローンチがずれ込みましたが、当初は今年の1月中にもサイトをリリースしようかと考えており、「LaunchCart」を導入することで決済回りが9割方できていたというのは助かりました。

他の越境ECカートも検討しましたか?

浜本:いろいろカートは見ましたが、決済対応が一番の決め手となりました。これほど現地決済とつながっているカートは他にはありませんでした。他にもわれわれが出した要望に一番応えていただけたのもスターフィールドさんでした。社内にエンジニアを抱えているのが大きいと思います。

スターフィールド 星野:決済は「LaunchCart」の強みとなっています。例えば「Shopify(ショッピファイ)」は競合ですが、アジア各国の細かい決済にまでは対応できていません。「LaunchCart」であれば、台湾なら現地のニーズが高い「LINE Pay」ともつながっています。他にも例えばミャンマーであれば、34のローカルのペイメントとつながっています。

浜本:細かい点では、台湾の方は意外と郵便番号を知らない方が多く、郵便番号を入力していただくとエラーが増えたりします。「LaunchCart」では標準で送り先の住所の入力から逆引きで郵便番号が自動入力される仕組みにできるため、そのようなエラーが起こりません。

星野:国・地域によってさまざまなルールやスタイルがあります。ベトナムではミドルネームがあるので入力欄が必要だったり、タイの住所はとても長いので改行できるフォームが必要だったり、ミャンマーには名字という概念がなかったりと通り一遍では対応できません。

元:「日貨百貨」では台湾の法人番号である「統一番号」で審査する仕組みも入れました。「統一番号」が分かるとネットで企業情報がすぐに確認できるので、審査の通過率が高まり、審査スピードも早くなります。細かい点までローカライズすることで、「仕入れる人が一番使いやすい仕入先となる」というビジョンに近づいていると思います。

新たな売れ筋も、品ぞろえさらに強化

「日貨百貨」は今後、どう強化していきますか?

浜本:商品数はもっと増やしていきたいです。現在、「日貨百貨」では2300点くらいの商品を取り扱っていますが、その中でもアパレル商品は子ども服が少しあるだけです。「スーパーデリバリー」はアパレルと雑貨を中心とした幅広い商品の取り扱いが強みです。「日貨百貨」では雑貨もまだほとんど取り扱っていないので増やす余地があります。ペルソナを決め、そのイメージに合ったジャンルから取り扱っておりますが、そのジャンルを少しずつ広げていくという感じです。

「日貨百貨」では「SD export」の台湾向けではそこまで注文が来ていない「今治タオル」が売れています。「SD export」では魅力が伝わりづらいアイテムもより詳しい商品情報と大きな画像ととも紹介することで、動きが出始めています。「日貨百貨」で新しい売れ筋をもっと作っていきたいと思っています。

今後、越境ECにおいて主要エリアへのローカライズを進めていくのですか?

元:主要な国・地域にはローカライズしていく方針です。実は台湾より先に中国向けにはローカライズしています。当社がアリババの越境ECモール「天猫国際(Tモールグローバル)」に出店し、日本のサプライヤーの商品を販売しています。中国には元々、BtoBの概念がなく、自社で中国の主要な決済に対応したり、グレートファイヤーウォールを超えたりすることは難しいと判断しました。

アジアでは香港や韓国、他にはアメリカなどマーケットが大きい地域や親日である地域はまだまだ広げられると考えています。各国で展開する際の課題は画一ではありません。アメリカは言語が英語だし、PayPalも入ってるので今の「SD export」のサービスで十分かというとそうではないと思います。アメリカに関しては、ローカルのサイトがあるかないかの問題ではなく、納期など物流の問題が最も大きいと思います。ローカライズの仕方も国・地域によって異なってくると思います。

「日貨百貨 by SUPER DELIVERY」 https://tw.superdelivery.com/

スターフィールド https://sterfield.co.jp/

こちらの記事を転載させていただきました https://netkeizai.com/articles/detail/1549/3/1/1

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スターフィールド編集部

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