STERFIELD

2020/05/13

今さら聞けない!電子商取引法の概要をザックリ解説

今さら聞けない!電子商取引法の概要をザックリ解説

はじめに

2019年1月から中国で施行された電子商取引法(通称EC法)のことをどのくらいご存知でしょうか。

今回はふわっとしか理解していなかった方向けに、ざっくり要点押さえながらご紹介します。

EC法

施行までの背景

中国のEC市場はTmallや京東の登場により、2014年頃から急速に拡大していきました。2018年時点で160兆円ほどの市場規模に成長しています

その中で不悪品の流通や消費者保護、従来の貿易システムでは市場拡大に追いつけなくなっていたなど、様々な観点から課題点が出ていました。
こうした状況で登場したのが、EC法です。

目的

上記のような背景を持ったEC法の主な目的は以下の2点です。

・中国電子商取引の規範化
・消費者の保護

EC法の対象

EC法の対象となるのは、(1)ECプラットフォーム運営者(2)ECプラットフォームに出店する事業者(EC出店事業者)(3)自社または個人サイト等で商品を販売する事業者(自社サイト事業者)になっています。

(1)プラットフォーム運営者の例としては、Tmallや京東が該当します。運営母体に当たるので、罰則が1番厳しいのはここに該当する事業者です。
(2)には、ECモールに出店している事業者が該当します。これまで放置をされていた代理購入業者もここに該当します。
(3)には、文字通り、自社サイトでEC展開をする事業者が該当します。

この3つの分類に合わせ、それぞれ事業者登録が必要になります。

罰則

EC法の罰則は、第六章の「法的責任」に記載がされています。罰則の対象は、ECプラットフォーム運営者と事業者の2つに分類されています。

ECプラットフォーム運営者に関わる罰則

ECプラットフォーム運営者に関わるのは、75、76、80~84条です。
内容は日本にある法律と大差なく、プラットフォーム内の不合理な制限・条件を加えたときや、消費者の安全保障義務を十分に行わなかった場合に罰則、罰金が発生します。

消費者の利益を十分に保護せず、悪質と判断された場合には、5万~50万元に併せて50万~200万元の罰金と業務停止が課されます。

プラットフォーム内の収賄、知的財産の保護を行わなかった場合も5万~50万元と50万~200万元の罰金が科されますが、その他は2万元~10万元の罰金のみが多いです。

事業者に関わる罰則

事業者に関わるのは、74~79、85、86条です。
罰則金は、軽いものであれば1万元や2万~10万元ですが、重いものでは5万~20万元に加え、20万~50万元の罰金が発生します。返金や個人情報保護に関する記載が不十分だった場合などが該当します。

関連する政策について

また、EC法の施行に合わせて3つの関連法が施行されました。
代表的な内容は以下の通りです。

    ・保税区活用式の越境EC綜合実験区を13都市から37都市に変更
    ・食品、化粧品の初回輸入証明書の免除 猶予措置延長(期限定めず)
    ・インターネット法院(裁判所)を1か所から3か所に増設

まとめ

施行まで5年を要したEC法ですが、まだまだ不透明な部分も多く中国市場に展開する際は、慎重な姿勢が必要になります。

精通した専門機関などの力も利用しつつ、展開することをオススメします。


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スターフィールド編集部

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