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ラオスで利用者No.1のECサイト yula.la とは?ECサイトから垣間見る現地のEC事情

ラオスで利用者No.1のECサイト yula.la とは?ECサイトから垣間見る現地のEC事情<!--kasetani-->

はじめに

越境ECで海外展開をされる際に、ぜひ一度見ていただきたいのは、販売先の国で最も使われているECサイトです。人気のECサイトを見ることで、現地での売れる価格帯、競合商品の価格はもちろん、訴求ポイント、購入者の求めている情報、決済の方法など、現地に行かずとも現地の情報をたくさん手に入れることができます。

今回は、東南アジアの小国、ラオスのECサイト、yula.laについて調べてみました。普段から東南アジア各国のECサイトを見ていますが、筆者個人の主観では、ここまでコテコテなTHE東南アジアを感じるECサイトはなかなかありません。ラオスでは人々がどのようにしてオンラインで商品を見つけ、購入をしているのか、日本との大きな違いをご紹介できればと思います。

yula.laとは?

2012年からクラシファイド広告のプラットフォームとしてサービスを開始し、現在ラオス国内で最も利用者が多いオンラインマーケットプレイス、yula.la

年間130万回のトラフィック件数、1日当たり3000~4000人のアクセスがあります。一見ものすごく少なそうに思えますが、ラオスの総人口が700万人程度であることと、この後ご紹介するメイン商材をご覧いただければ、ラオス国内では利用者の多いECサイトだということがお分かりいただけるかと思います。

2020年9月には、AndroidとAppleのアプリを発表し、より一層のユーザビリティの向上を目指しています。

yula.laの特徴

そんなyula.laのECとしての特徴は主に2つあります。 どちらも日本のECサイトとは大きく異なり、ラオスは小売りにおけるECでの取引はあまり活発に行われていないことが伺えます。

土地・車・仕事をメインで販売

まず初めに筆者が驚いたのが、土地・車・仕事など、日本ではECサイトではあまり売買されないような商材がメインで並んでいる点です。このほかにも、バス・トラック、中古車、銀行のローンなども販売されています。実際に、70%以上の利用者は、土地と車を探すためにyula.laを訪れているらしく、ニーズの高さも伺えます。

単価の低い日常で使うような商材でトップに並ぶのは、テレビ・パソコン・スマホなど、家電やモバイル家電系、そして家具です。その後に、ファッション・美容系商品などがあります。これは、多くの東南アジア諸国がECでの購買が盛んでなかった頃、ECが店頭では見つからない家電や中古で安いモバイル端末を購入していた時期と似ている気がいたしました。

言語・通貨が豊富

もう一点、非常に興味深かったのが、言語や通貨の豊富さです。言語に関しては、現地のラオス語だけでなく、英語、簡体中国語、フランス語、タイ語の5か国語に対応しています。マレーシアやシンガポールのような多民族国家であれば、複数か国語に対応するのは一般的かもしれませんが、ラオスは国民の半分がラオス語を母語とするラオ族で、その他少数民族も民族語と共にラオス語が話せます。一般的に考えれば、ラオス語と余力があれば英語対応するのが普通でしょう。現に、ラオスと同じように複数の少数民族がいながらも、インドネシア語を公用語とするインドネシアのECサイト、tokopediaではインドネシア語しか表示されていません。

また、通貨に関しても、ラオスの現地通貨キープに加え、アメリカドルとタイバーツまで対応しています。ラオス国内ECではなく、越境ECサイトなのではないかと疑ったくらいです。

どういった背景で5か国語対応しているのかは不明ですが、グローバル公用語である英語、地理的・政治的にも繋がりが強い中国、元宗主国のフランス語、そしてラオス語とほぼ同じで国境を接しているタイ語、ということで非常にグローバル化をしているサイトだということが分かりました。(チャットボットに英語で質問しても、1分以内に英語で返答をいただけたりと、期待以上のカスタマーサービスを受けてしまいました。)

※Tokopediaについては、別記事でご紹介しているので、ぜひご覧ください。

サイト内購入ではなく、電話をして購入(?)引き取り(?)するのが一般的

そして、商品ページをご覧いただくと分かるのですが、いわゆる「カートに入れる」のマークがない商品を多く見かけます。(サイトのヘッダーにカートボタンがあるので、サイト上でそのまま購入することも恐らくできるのですが、)商品を実際に購入したい際には、商品ページに表示されている電話番号に直接電話をかけて、取引をするというスタイルのようです。

実際に電話をかけた後、発送するのか購入者側が引き取りに行くのか等は、実際に購入したことがないので分からないのですが、商品ページのLocationをクリックすると、セラーの住所が地図上に表示されます。また、車や、土地、仕事だけでなく、simカードやスマホ、洋服等を検索する際にも地域ごとでソートをかけることができます。元々クラシファイド広告のプラットフォームとしてサービスを開始したため、サイト内での購入は目的とせず、広告媒体として掲載しているセラーも多いのだと感じました。

まとめ

今回は、ラオスで最も利用されているECサイト、yula.laについてみてみました。特徴の3つ目でご紹介した通り、ECサイトというよりかは、広告のプラットフォームとして利用されている感じが強いですが、今後ラオス国内でECでの取引が盛んになった際には、きっとラオスECのパイオニアとして先導するような存在になるのでしょう。


《参考》Yula.la News

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MINGFAN

自称東南アジアオタク。SNSの中の人、メルマガの人です。アジアのマーケット事情やShopeeの運営系を中心に書いてます。

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