各国のEC事情シリーズ 「香港のEC事情大解剖」

はじめに
中国、台湾、シンガポール等、アジアの国々にビジネス展開する上で必ず視野に入れておくべきなのが中華圏です。
香港は市場規模自体は小さいものの、シンガポールと同じく、アジアのハブとして、欧米からの投資が流入し、かなり早い段階で発展しました。 今では、世界で最もインターネットの速い国の1つとしても名高く、越境ECをするための土壌はかなり整っている国と考えられます。 今回は、そんな香港のEC事情について調べてみました。
香港のEC事情
香港のEC事情
香港は、アジアの中でもかなりECの普及が進んでいる国です。 全人口745万人のうち、400万人以上がECでの買い物をしたことがあり、2018年のECの普及率は59.8%。 2022年には72.6%に達すると期待されています。 また、中国からの越境ECという流れも近年かなり拡大しています。
しかし、中国と大きく異なる点は、検索エンジンやSNSです。 香港で最もよく使われている検索エンジンがGoogle(シェア率83.6%)であり、その後はYahoo(13.6%)Bing(1.4%)となっています。
SNSに関しては、Facebook、Youtube、Instagramが首位を占めており、特にFacebookに関しては、アクティブユーザーが350万人います。 また、香港企業はFacebookを活用してビジネスを行うことが多く、カスタマーエンゲージメントには76%、販売には53%の企業が利用しているそうです。
最も日常的に使われているメッセージアプリも、欧米や東南アジアでよく利用されている Whatsapp(74%)がメインで、Facebook Messenger(45%)やWeChat(44%)も少なからずユーザーがいるという状態です。 日本では、LINEの普及率が72.6%ということで、香港でいうWhatsappはそれと同程度の頻度で利用されていると考えても良いかもしれません。
香港の人気商品
香港のECにおける人気商品はこちらです。
- 電化製品・メディア電化
- ファッション・コスメ
- おもちゃ、DIY商品
この他にも、家具、機械類、食品などありとあらゆるものがオンラインで売買されています。
香港の主なECサイト
香港では様々なECサイトが利用されていますが、今回はその中でもよく使われているものをいくつかご紹介します。
HKTVmall
HKTVmallは、香港で最大規模を誇るネットショッピングモールです。 元々は、香港地場の通信系企業であるCity Telecomが、放送業界の進出を狙ってインターネットテレビを開局、その後現在のHKTVmallであるオンラインショッピングモールを開設しました。
現在では、このHKTVmallが同社が最も力を入れているビジネスであり、月間アクティブユーザーが438万人、香港内のPlayStoreやAppStoreでのアプリダウンロード数もほかのECモールより多く、よく利用されているECモールです。 ページ内での中国語と英語の切り替えもスムーズに行うことができ、中国語話者でなくても簡単に利用できそうなECモールです。
HP:HKTVmall
天猫国際 Tmall Global
天猫国際は、アリババグループのB2C越境ECプラットフォームです。 アリババの審査が通らないと、販売ができないため、ユーザーからの信頼度も高く、利用者も多いため、 世界92の国や地域から、25,000以上ものブランドが出店しているECモールです。
ホームページ:天猫国際
友和 YOHO
2013年にサービスを開始した、香港のECモールです。ECモールと実店舗の両方を構え、サービス展開をしています。 主な商品は、電化製品ですが、電化製品だけにとらわれず、様々なものを販売しているそうです。 物流会社と提携しており、顧客が自宅に届けるか、ロッカーの中に預けておいてもらって、ピックアップするサービスにするか自由に選べるようなサービスを提供しています。
ホームページ:友好
まとめ
ECの利用率や、物流やインターネットなどのインフラもかなり整っており、越境ECや現地ECで進出がしやすそうな印象を受けました。 香港は、中国の影響を受けている市場ですが、その一方でSNSや検索エンジンなど、中国とは異なるサービスを利用している独自性を兼ね備えた市場です。 中国と同じようには捉えずに、香港ならではの特徴をつかんだローカライズをすることで、香港進出の成功に繋がるのではないかと感じました。
《参考》Société Générale
, Janio
, iPrice
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