STERFIELD

コロナ効果でオンラインショッピングが定着するか?「スペインのEC事情大解剖」

コロナ効果でオンラインショッピングが定着するか?「スペインのEC事情大解剖」<!--tomishige-->

はじめに

コロナ禍において、もっともビジネスチャンスが感じられたものの1つがEC関連事業ではないでしょうか。実際にECでの売り上げが伸びている国や企業は少なくありません。

しかし果たして、もともとオンラインショッピングが盛んでなかった地域に、コロナ収束後eコマースが定着するのでしょうか?eコマースが遅れていると言われていたスペインの現状を調べてみました。

ビフォーコロナのスペイン

eコマースの遅れの原因として言われていたのが、インターネット普及率と地理的条件です。しかし近年、インターネット普及率は格段に上がっており、とくにモバイル端末を利用したインターネットアクセスは他のヨーロッパ諸国と比べて遜色ありません。

主な原因は、やはりその地理にあるのでしょう。スペインとフランスの間に広がる山脈は、クロスボーダーな物流や交通インフラの発展を阻害してきました。そのため、特に鮮度が大切な商品や精密機器などの輸送にはコストがかかるのです。結果として、eコマースは、配送に時間がかかるのに加え、品質もイマイチという評価になってしまいがちです。

さらに言うと、筆者個人の体感では、スペインの人々は外へ買い物に行くのが大好きです。そしてそれは、ただお金を使うとか、必要なものを買うといった行為ではなく、そこに顔見知りの店員や友人とのコミュニケーションがあるからこそ。それに勝る利点が見出せなければ、スペインの人々がネットショップを選ぶ理由はないのではないでしょうか。

アフターコロナのスペイン

スペインの端末機器向け保険会社Celside Insuranceの調査によると、パンデミック以前にょりもオンラインでの購入が多くなったと感じている人は76%に上るそうです。また、調査対象の50%は少なくと週に1回はオンラインショッピングを行い、最も購入されているのは衣料品やアクセサリー、続いてウェブカメラなどPC関連機器とのこと。ロックダウンという外的要因により、ネットショッピングが一気に広まったと言えるでしょう。

「Amazonフレッシュ」のローンチ

ことeコマース業界では、これを好機と考える企業も当然少なくありません。2021年2月には、「Amazonフレッシュ」が首都マドリードに進出。バルセロナや他の都市にも順次展開を予定しています。新鮮な食料品が当日配送されるため、コロナがまだ収束の気配を見せない今、食料品も家に届けてほしいという消費者にとっては嬉しいニュースでしょう。

その一方で、スペインの大手スーパーであるMercadonaを初め、大手欧州系スーパーにとっては脅威となるかもしれません。Amazonフレッシュは数百万の顧客獲得を目指しているようですが、果たしてスペインユーザーに受け入れられるのでしょうか。今年の動向はもちろん、コロナ収束後も定着するかが注目されています。

ロシア「Wildberries」のローンチ

ロシアのeコマース大手の「Wildberries」は、1月にドイツへ進出したのを皮切りに、フランス、イタリア、そしてスペインへと展開。商材は、洋服やアクセサリー、電気機器、本、カー用品、ペット用品と多岐にわたり、有名なグローバルブランだけでなく、ローカルな中小企業のものも扱っています。その商材数は約400万で、今後はさらに充実させていくとのこと。ウェブサイトからだけでなく、アプリを通じて注文もできるのも特長です。サイトもアプリも各国の言語が実装されています。言語が非英語圏へのEC進出の壁になるという点からすると、かなりの強みと言えるでしょう。

Amazonに対抗!?書店ギルドのオンライン進出

上記のようなeコマース大手に対抗するため、スペインの書店が立ち上がりました。スペインの789書店が参加する書店ギルド協会「Cegal」は、オンラインプラットフォーム「Todos Tus Libros」(「全ての本」)を発足。ユーザーはサイト内検索エンジンで書籍の検索を行い、購入可能なストアを選択します。注文後は、行きつけの書店で受け取ったり、24~48時間以内に自宅に配送したりできるため、ユーザーは好みのショッピング体験を選択することが出来るのです。

スペインでは、書籍の実店舗販売の最重要拠点は独立系書店なのですが、これまでオンライン市場ではパッとしなかったそう。これを足掛かりに、大手ECモールに対抗できるか、注目です。

まとめ

今回はコロナ前後のスペインEC事情についてまとめてみました。イタリアなどと同じく、eコマースが遅れていると言われているスペインですが、ポストコロナでどうなっていくか、今後も追っていきたいと思います。

《参考》 https://ecommercenews.eu/

Author Profile

著者近影

TOMI

制作ディレクターとか進行管理とかリソース管理してます。 欧米もアジアも好きですが次は南米あたりに住みたい。

SHARE

合わせて読みたい