各国の決済事情シリーズ
「韓国の決済事情を網羅」
キャッシュレス化世界No.1
はじめに
通販を行う上で決済手段の選定は非常に重要です。
特に韓国においてはキャッシュレス決済比率が90%を超えており世界で最も高い比率となっています。
それに伴い決済手段も多様化しており、決済の選定がお客様の満足度や売上に直結すると言っても過言ではない状態です。
たくさんの決済手段を用意することは、お客様の選択肢が増えるという意味では有益ですが、費用がかかったり、手続きが煩雑になることもあります。
どのようにバランスを取るかを「利用されている規模」=「シェア」によって選定することが大切ですが、アジア圏の決済は今も栄枯盛衰が続いており正確な情報を日本で知ることはとても難しいです。
そこで今回は、韓国の決済市場のシェアについてまとめました。
中国、台湾の決済事情はこちらの記事をご覧ください。
キャッシュレス比率世界1位
以下は2016年時点での各国キャッシュレス比率の比較です。
《出典》JETORO
日本が19.8%と低い水準に対し韓国は100%に近く、世界で最もキャッシュレス化が進んでいる国と言えます。
あまり知られていないように思いますが、これには歴史的背景があり韓国だけがこのような高い水準となっているのです。
それは、1997年のアジア通貨危機の後、景気刺激策として韓国政府が信用決済=クレジットカードの普及を推進したというものになります。
主な内容は
– 30万円を上限に20%を所得控除できる
– 年商240万円以上の店舗はクレジットカード決済が義務
– 1000円以上のクレカ決済で宝くじに参加可能
(当選金額1億8000万円)
となっており、消費者側、店舗側ともに強くクレジットカードの普及を促す内容となっていることが分かります。
韓国では20年も前から国策としてキャッシュレス化を目指しており、結果として現在キャッシュレス先進国となっているのです。
進化する決済サービス
国策としてのキャッシュレス化はもう1つ大きなメリットがありました。
それは支払いのデータ化による取引の透明化と税務手続きの簡素化です。
このメリットを最大化することを目的とし、韓国政府として新たな決済手段が開発され、現在試験運用が始まっています。
それが「Zero Pay」と言われるもので、2018年12月にソウルで試験導入され、2020年までにその他主要都市でも順次試験導入が決まっています。
このZoro Pay最大の特徴は、加盟店手数料が最低0%という点です。店舗側としてキャッシュレス化の最大のデメリットの1つがこの加盟店手数料でしたが、これがなくなるとなると導入しない理由はほぼ無くなります。
Zero Payは世界でも先進的な試みで今後に注目が集まっています。
とはいってもまだ試験段階であり、その他民間の決済も多数利用されているのが現状です。
ここでは有名なものをいくつか紹介します。
韓国のモバイルペイメント
Naver Pay
Naver PayはNaverによって、Line Payの次に開発された決済サービスです。
そのためLine Payとの親和性が高く、訪日韓国人は特別な手続きが不要で、そのまま日本のLine Pay加盟店で決済ができます。
韓国ではオンライン、オフライン共に利用されており、モバイルペイメントとしては最も利用されています。
《参考》Naver Pay
KakaoPay
メッセージアプリとして韓国でのシェア最大のカカオトークが提供する決済サービスです。
2017年にアリババグループから2億ドルの出資を受けシェアを拡大しています。
日本ではPayPay加盟店での利用が可能となっています。
《参考》kakao pay
Samsung Pay
オフラインを中心に利用されています。
Apple PayやGoogle Payと同じく非接触IC端末で行う決済だが、それらとの違いはMSTと呼ばれる技術で、磁気カードと言われる普通のクレジットカードを予めSamsung Payアプリに登録しておくことで、非接触IC端末がない店舗でもカードリーダーにタッチすることで決済ができるという特徴があります。
現在では世界展開も始まっており、2019年初旬時点で24カ国に展開しています。
《参考》SAMSUNG PAY
まとめ
韓国ではクレジットカードの普及が進んでおり、ECという意味であれば、クレジットカードに対応していればとりあえず支払いには困らない状況の様です。
しかし、多数のモバイル決済サービスが誕生しており、各社がキャンペーンやインセンティブの配布をしており、利用者の購買を促すためには勢いの良い決済サービスを導入するのは得策のようです。
更に、世界でも先進的な試みとして政府主導のZero Payの試験導入が進んでおり、今後の決済サービスそのもののあり方が定義されようとしている、ここ数年は特に非常に注目すべき国といえると思います。
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