東南アジアの美容品・パーソナルケア市場
はじめに
弊社サービスLaunchCartのトラフィックを見ると越境ECで成功されている企業の多くは化粧品・サプリメントといった美に関するカテゴリの商品を取り扱っています。
以前取り上げた台湾のコスメバブルや、EC大国の中国ナンバーワンのオンラインセールW11での美に関する製品の流通額、日本でもよく目にする韓国のK-beautyのように、今まさにアジア圏では美に対する投資がバブリーです。
そんな我々にとって馴染みがあり、確立しつつある東アジア市場に対して、今後大きなマーケットに発展する東南アジアのコスメ市場はどうなっているのかこの記事で解説していきます。
東南アジア市場の今
2018年、 東南アジアのインターネット経済は720億ドルの価値があり、この数値は2025年までに2,500億ドルに達すると予想されています。
【2017年から2018年の消費財のEC成長率】
《出典》We are social
アジア太平洋地域は、美容およびパーソナルケア業界向けの世界最大市場の1つであり、成長率も非常に高いです。
近い将来に世界の美容の流行を確立する程の市場になると予想されています。 アジアの美容とパーソナルケアのトレンドと呼ばれるユーロモニターのレポートによると、アジア太平洋地域は世界の美容とパーソナルケア市場の32%を占めています。
インドネシアやフィリピンなどの新興経済国が急速に拡大していることを考えると、美容およびパーソナルケア業界のeコマース小売業者は、アジア太平洋地域に参入するときに東南アジアもターゲットに入れようと考えている方もいると思います。
進出をする前に少しでも現状を把握して、日本に在庫を持ったままの海外展開、つまり越境ECでテストマーケティングすることをお勧めします。
東南アジアの美容及びパーソナルケア市場からの重要な洞察
SNSによる美容とパーソナルケアへの関心の高まり
インドネシアやフィリピンのような国では、美容製品への関心が顕著に高まっています。
ソーシャルメディアコンテンツ、K-beautyトレンド、及びビューティーインフルエンサーの増加が興味関心の背中を押しているようです。
例えば、フィリピンでは特に若い消費者の間でソーシャルメディアが美容とパーソナルケアに対する意識と関心を高めるために有効です。
ソーシャルインフルエンサーと美容ブロガーもそれらの意識と関心の成長を促進しています。この様に新興国でもどこの国でも、製品レビュー、デモンストレーション、チュートリアルで人気のあるYouTuberが多数いるようです。
全体としてソーシャルメディアは、消費者に対してより幅広い製品や使用方法等を伝えることが出来ます。
また、適切な髪とスキンケアのメリットを理解し、髪と肌のケアにお金を使う男性消費者を惹き付けるのに役立っているようです。
有機製品および天然製品に対する傾向
アジアの美容とパーソナルケアのトレンドに関するEuromonitorのレポートに基づくと、近年、製品を購入する際に「ナチュラル」、「オーガニック」などの言葉が消費者にとってますます重要になっています。
より持続可能な製品を選択する場合でも、化学物質を天然成分に置き換えた製品を選択する場合でも、環境に優しい自然の美しさやパーソナルケアアイテムが東南アジアで人気を集めています。
シンガポールを特に見ている別のEuromonitorの報告書では、シンガポールの消費者は美容製品やパーソナルケア製品に化学物質を使用することの危険性をより意識するようになったと述べています。
オンラインで商品を検索する場合、消費者は特にスキンケア製品やベビー用品で「natural」、「restore」、「detox」などのキーワードを検索する傾向があるようです。 同様に2018年のタイでは、より自然な原料を使用した製品制作といったトレンドが見られたようです。
同様に、 Euromonitorのベトナムの美容およびパーソナルケア-分析レポートによると、通常より高い価格にもかかわらず、消費者は「自然」および「オーガニック」といった製品に惹かれているようです。 人工化学物質を含む美容製品の潜在的な毒性と健康への悪影響の一般認識の高まりがこの傾向を牽引したようです。 従って、より多くの消費者は人工ベースの製品よりもハーブといった自然用品を選択しています。
美容およびパーソナルケア市場の動向
インドネシアでは、K-beautyへの興味関心の高まりがインドネシア内の韓国ブランド数に増加に大きな影響を与えています。
韓国の美容の一例としては、特に保湿または美白の目的を持つフェイシャルシートマスクの使用です。 東南アジア・台湾・ブラジルで展開している大手ECモールのShopeeによると、フェイシャルシートマスクは2018年に大量販売を記録したとしています。
別の例では、 Daily Vanityはシンガポールの2,008人の女性に自分の興味を引く美容文化と傾向についての調査を行ったところ、88%の方が韓国の美容文化とトレンドに興味を示している事がわかりました。 これもまた、韓国文化東南アジアの美容基準に大きな影響を与え、消費者を惹きつけて製品を購入できることを示しています。
ハラール製品
東南アジア市場のもう1つのトレンドは、特にインドネシア、マレーシア、シンガポールを中心とする地域の大勢のイスラム教徒消費者に対応するためのハラール製品の増加です。
2014年9月 、インドネシアはハラール製品認証法案を可決しました。この法案によって国内で販売される全ての製品を2019年までにハラール認証する必要があります。
これはインドネシア市場への参入に対する障壁のように思えるかもしれませんが、ヒジャーブを着ている女性のためのヘアケアやボディケアなどの特定の製品は、依然として非常に需要があります。
湿気の多い環境での発汗防止と脱臭効果は、イスラム教徒の女性が注目するものですが、髪や体の清涼剤などはイスラム教徒と非イスラム教徒の両方にアピールできます。
今のところ、スキンケアは東南アジアのハラール分野で最大の31%を占めていますが、その他ヘアケアとボディケアは製品イノベーションの余地があります。
市場の動向に関するこの情報を活用して、市場の見通しと成長の可能性を見てみましょう。
東南アジアの美容とパーソナルケア市場の未来
若くて裕福な人口の利点
フィリピンとタイに関するEuromonitorのレポートによると、これらの国の美容およびパーソナルケア業界の成長は、強力な経済成長率と急速に成長している若年層の人口によって確立されると予想されています。
可処分所得の増加の他にフィリピンの人口は2023年までに800万人増加すると予想されています。これにより美容とパーソナルケアの消費者基盤が拡大します。
タイでは都会の中流階級の増加により、より高価格でより洗練された付加価値製品がよく売れる可能性があります。
ECで消費者にアプローチ
ベトナムに関する同様のレポートでは、オンラインプラットフォームは美容およびパーソナルケア製品を販売するための最も効果的なチャネルであると予測されています。オンラインの購入フローや生活レベルの向上は美容とパーソナルケア分野の成長に寄与する重要な要素です。
同様に、フィリピンではインフラの改善に伴い、オンラインでの小売がより定着すると予想されています。 ソーシャルメディアは新製品と既存製品のマーケティングとプロモーションの鍵であり続けるでしょう。
男性消費者の増加
シンガポールでは、スキンケアだけでなくカラー化粧品でも、男性の美しさの一部として受け入れられることが期待されています。
男性専用のトーンアップクリームは、特定のメイクアップスキルを必要とせず、「ハンサムで若々しく、ダンディな」外観を実現することで男性に自信を与えることが出来るため、牽引力を得ることが期待されます。
フィリピンでは、美容品を購入する男性の数が増加する可能性が高く、男性が外観に投資することは社会的に受け入れられるようになってきています。
紫外線に対する関心の高まり
Euromonitorによると、一年中日光を浴びる東南アジアでは、 サンケアは力強い成長を遂げると予想されています。
シンガポールでは、消費者は日焼け防止製品を使用して大気汚染や微細な粉塵から保護し、より良い肌環境を保とうとしているようです。 BBクリームやプライマーと組み合わせた日焼け止めなど、日焼け止めのさまざまな機能を持つブランド商品は、時間を節約する製品を求める忙しいシンガポール人を引き付けているようです。
インドネシアでは、スキンケアとサンケアの両方の成長は、地球温暖化と皮膚への日光曝露の影響に対する高い懸念からもたらされると予想されます。さらに、観光の急増によりサンケアの売上が増加すると予想されます。
まとめ
全体として、東南アジアの美容およびパーソナルケア市場は、将来的に前向きな見通しを持っているようです。
K-beautyやハラール製品などのトレンドは今後数年間続く可能性が高く、有機的または自然の特性を持つ商品も注目を集めています。
美容とパーソナルケアの男性市場は、サンケア製品の重要性に対する認識とともに成長すると予測されています。
豊かさの増加と人口の増加に伴い、東南アジアは、eコマースおよび国境を越えた輸送を通じて美容およびパーソナルケア市場での存在感を拡大する魅力的な地域であり続けています。
《出典》Euromonitor
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